公認会計士

公認会計士試験の難易度について現役会計士がぶっちゃけベースで解説する。

こんにちは会計士てるです。

公認会計士試験は難関資格として知られています。その難易度の高さは医師試験(または国家公務員試験)、司法試験と並んで三大国家試験と呼ばれていることからも分かります。公認会計士試験の概要について紹介した記事でも述べた通り、合格率は約10%と非常に低いことが分かります。

とはいえ、実際のところ難易度はどうなのでしょうか。今日は公認会計士試験の難易度について解説します。

難易度を定量的に分析する

合格率・合格者数

まずは、概要でもお伝えしましたが、もう一度公認会計士試験の合格率と合格者についてまとめた表を見てみましょう。


合格率は一番低い2011年で6.5%。一番高い2007年で19.3%となっています。これは、2006年の新試験移行後に多くの合格者を輩出させた結果として合格率も高くなったことが原因です。その反発と日本経済がリーマンショックを原因に低迷したことと重なったこともあり、2010年から13年頃までは10%を下回る非常に低い合格率となり、会計士試験の冬の時代と呼ばれました。

その後、2015年を境に合格率・合格者ともに上昇傾向にあり、最近3年は合格者数が100人ずつのペースで増加しています。 これは近年の会計士不足を背景に合格者数を増加させたいという金融庁の意図があります。

公認会計士が一番多く所属する監査法人は上場企業を主な監査先(クライアント)にしているので、日本経済の影響をもろに受けます。つまり、日本経済が低迷している際には、合格者数は少なくなる傾向になり、逆に近年のように株価も上がりIPO数も増加している場合は、会計士に対する需要が高まるため、合格者数は高くなる傾向になります。

今は日本経済が比較的安定していることもあり、合格者数も安定して増え続けていますが、今後の見通しは不透明で、また、合格率・合格者数が低下することも予想されます。

とはいえ、現在人手不足の監査法人の状況がすぐに変わるとは考えにくく、今後2年程度は現在の合格者数・合格率から大きく変わることはないと考えられます。したがって、今から会計士を目指す方は、合格率10%を前提に考えればいいでしょう。

公認会計士試験の受験者層

次に見るのは受験者層です。下表は、2018年公認会計士試験の受験者の職業別分類です。合格者のうち最も多いのは、大学在学者の56.3%で次に多いのは専門学校生と無職でそれぞれ15.7%、13%です。この場合の無職とは受験に専念している人たちのことを指し、大学受験でいうところの浪人生です。

したがって、合格者の約85%は大学生か受験に専念している人だと考えられます。これが意味するのは合格者の大半はフルタイムで受験勉強に取り組める時間がある人ということになります。

また、学生のレベルとして、正確なデータはないものの、受験生時代と監査法人での経験から言って、ボリューム層は早慶・March、関関同立あたりです。特に多いのは早慶で、監査法人で仕事をしていると大体10人に3、4人は早慶出身の方という感覚です。

このあたりの大学の偏差値は60~70前後ですので、日本の上位15%程度のレベルの人が合格者のボリュームゾーンであると考えられます。(正規分布を前提として場合)

公認会計士試験 合格までの勉強時間

これについては、私自身のデータも踏まえた詳しい記事を書いたので、そちらを参照してください。

ここでは、結果だけ引用するとおおよそ2次試験突破までに4000時間の勉強時間が必要だと思われます。内訳は短答式試験に2500時間、論文式試験に1500時間です。

会計士試験合格までの平均学習期間は約2年間なので、平均すると一日約5.5時間の勉強が必要な計算になります。中には休まざるをえない日もあるので、一日6時間から7時間勉強を2年間続けることが一つの目標になります。

私には絶対に無理と思ったら

ここまで見て、「自分が公認会計士試験に合格するなんて絶対に無理」と思われている方もいるかと思います。なにせ、March以上のレベルの人たちが2年間4000時間以上勉強したにもかかわらず、10人に1人しか受からないことがデータで示されているわけですから。

多くのほかのサイトでも同じようなデータや公認会計士試験の難しさ、難易度の高さが指摘されていると思います。

というわけでここからはこれらのデータについてぶっちゃけながら語って行きたいと思います。結論から言えば、そこまで会計士試験のハードルは高くないということです。

合格率のからくり

詳しくはまたしても別記事で解説しましたが、合格率の低さと難易度の高さとは関係はありません。

確かに、総合的な会計士試験の合格率は10%ですが、この表現は適切ではありません、正確には短答の合格率が約15%で論文が約35%の掛け算です(短答は年二回実施)。要するに15%*2*35%=10%。

短答式試験と論文式試験ではいろいろと条件が異なるのに別々に考えることにします。

まず短答式試験の合格率は約15%ですが、これは受験を申し込んだ人に対して、の合格者割合です。実際に受験を受けたではどうでしょうか。下記は平成31年短答①の受験者数です。

お分かりかと思いますが、欠席者が1905人もいます。これは例年よりも少し多い人数ですが毎回1000近くは欠席者が出ます。これを勘案すると、合格率は1097/6610なので、約16.5%まで上昇しました。

次に考えるべきは記念受験者です。大学受験を経験した人ならわかると思いますが、受験には絶対に受かる見込みがないにも関わらず、とりあえず申し込んだのだから試験ぐらいは受けるという層の人たちがいます。

会計士試験にもこういった層の人たちは存在しています。例えば、「本命は12月試験だけど、練習として5月試験を受けてみる」みたいな人です。もう一つのデータは上の試験時の受験者の得点を分布で表したものです。

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得点比率50%以下の人が約4000人います。今回の合格率は63%だったので、50%はそれよりもかなり低く、言い方は悪いですが話にならなかった層です。もっと落として得点比率40%に限定しても2886人もいます。

これくらいの層を記念受験層として母集団から外してやると、50%で1097/(6610-4000)=42%、40%で1097/(6610-2886)=29.4%になります。

以上を踏まえると勝負できる層のみにおける合格率、つまり実質的な短答式の合格率は記念合格者を甘く見積もって、30%、厳しく見積もれば、50%程度だと考えられます。さらにいえば、短答式試験は年に2回あるため、単純にこの合格率は倍になります。(確率論的には倍ではありませんが、イメージとして)また、短答式試験は司法試験とは異なり、人生における受験回数の制限がありませんので、何回でも受けられます。つまり勝負できる層にいるのであれば、短答式試験を受け続けることによって、確率的にはほぼ合格することは間違いない試験だと考えられます。

さらに同じ話が論文式試験にも言えます。論文式試験は8月に行われるため、5月短答合格者よりも12月短答合格者の方が合格率は高くなります。したがって、12月合格者の実質的な合格率は50%弱だと考えられます。また、短答合格者は論文式試験を最大で3年まで受ける資格があるため、(1-50%)^3=12.5%なので合格率は実質的に87.5%程度と言えそうです。(短答を受かったとき最終的に論文に合格できる確率)

まとめると、表面的な合格率は10%ですが、実質的な合格率は(30%~50%)*2*87.5%=56%程度だと考えられます。とはいえ、論文を3年間受け続けるのはモチベーションを保つのもまた経済的にも難しいので、実際はこれよりもさがって、40%程度に落ち着くのでしょうか。

最初の10%に比べたら30%も合格率があがりました。いくつかの仮定は置いているものの、合格率30%の試験と分かれば、なんとなくいけそうな気もしてきませんか?

勉強時間に面食らうな

試験に合格するまでの勉強時間は上で4000時間とお伝えしました。私も合格までに大体これくらいの時間勉強をしていると思います(記録が残っているのは約3000時間分)。また、合格体験記などを見ていると一日12時間毎日勉強していたとか、14時間とかはては16時間とか勉強している人がいて面喰ってしまうかもしれません。

そんな長時間自分は勉強できないと思うかもしれませんが、心配しなくてもそこまで勉強しなくても合格はできます。前述したとおり、2年間で4000時間勉強すればいいので、一日約6時間でいいわけです。そう考えれば、あなたも実はいままでそれくらいの時間勉強していませんでしたか?

例えば、高校だと50分授業が6時間あるとすれば、一日5時間です。週に5日で、年に約半分の28週授業があるとすれば、年間700時間です。三年間で2100時間勉強していることになります。もちろん授業だけでなく、課題の時間と塾の時間を入れると、年間1200時間、三年間で3600時間は勉強していたのではないでしょうか。

また、社会人の方なら、少なくとも一日8時間多い人では12、3時間は働いているでしょうから、年間休日が120日だとすれば、一年で2450時間(一日10時間計算)働いていることになります。

4000時間という時間はもちろん長時間ですが、多くの人が今まで小中高、社会人とこれくらいの時間を一つのことに費やしているわけですから、全く不可能とは思わないと思います。上記の通り、会計士試験受験生の大半は一日中受験勉強に専念できる人が中心なわけですから今まで、高校に行っていたのと同じように専門学校に行く。今まで職場にいっていたのと同じように専門学校に行く。
ただそれだけのことです。でもみんなただそれだけのことができません。

実際問題4000時間をしっかり試験勉強に費やせた人はほぼ間違いなく受かっています。会計士試験の本当の難しさは、勉強しても試験に受からないことではなく、長期間の勉強を続けられない事なのです。逆に続けられさえすれば、どんな人でも確実に受かるとまでは言えませんが、全く勝負にならないなんてことはあり得ません。というか多分受かります。

まとめ

定量的にみると、公認会計士試験の難易度はとんでもないです。かなりレベルの高い人たちが必死にやっても10%しか受からない試験に見えます。

でも数値はよくよく見る必要があります。それこそが会計士に必要な力とも言えますが。実際のところ、実質的な合格率は絶対に10%ではありません。というより、受験制限が大学受験や司法試験と違ってないわけですから、受かるまで受け続ければいいわけです。

勉強時間も総時間数でみると面喰いますが、実際は一日6時間程度でいいわけです。高校生は毎日3年間同じくらい授業を受けているわけですから、あなたにできない理由はありません。

この試験を一番の難しさは2年間にわたって勉強をやり続けることにあります。その一点さえクリアできれば、というか、そこだけに注意して勉強をやり続ければ、周りは勝手はリタイアしていってくれます。

簡単とは言わないが、覚悟を決めてやればできないことはない。それが公認会計士試験の難易度です

ABOUT ME
会計士てる
大学3年時に公認会計士試験に一発合格。 その後海外留学を経て、大手監査法人に入所。その後、製造系の上場企業の監査業務、IFRS導入支援業務に従事。現在は国際金融部にてフィンテック系企業及び金融機関の監査・コンサルティング業務を行なっている。