公認会計士

誰も知らない公認会計士試験の合格率のトリックについて解説する。

こんにちは会計士てるです。

公認会計士試験は難関試験として知られていますが、実際の合格率はどうなのでしょうか。実は数値上の合格率と実際の難易度とは異なるのではないかというのが、本記事の見どころです。

では、さっそく見ていきましょう。

公認会計士試験の合格率推移

まずは、 公認会計士試験の概要の記事でも紹介した、 公認会計士試験の合格率と合格者についてまとめた表を改めてを見てみましょう。

合格率は一番低い2011年で6.5%。一番高い2007年で19.3%となっています。2006年の新試験移行後に多くの合格者を輩出させた結果として合格率も高くなっており、その反発と日本経済がリーマンショックを原因に低迷したことと重なったこともあり、2010年から13年頃までは10%を下回る非常に低い合格率となりました。

平均的な公認会計士試験の合格率は10%だと見て間違いないでしょう。

短答式試験の合格率

公認会計士試験は短答式試験(一次試験)と論文式試験(二次試験)に別れるため、別々に見ていくことにしましょう。まずは短答式試験の合格率をまとめた表です(金融庁のHPを参考に筆者作成.以下同)。合格率は12%前後で推移しています。受験者数は2000年代後半のピークから10000人を切りましたが、最近は徐々にですが回復傾向にあります。

論文式試験の合格率

次の表は論文式試験の合格率をまとめたものです。合格率は35%前後で推移しており、合格者が多く出た2007年、2008年を除けばほぼ安定しています。受験者数は2014年を底に徐々に回復していることが分かります。

公認会計士試験 合格率の計算方法

一番上で見た公認会計士試験の合格率が10%そこそこだったのに、短答式試験の合格率が12,3%なのには驚いた人もいるかと思います。

短答式試験は2009年から年二回実施されるようになりました。それが原因で 公認会計士試験の合格率が10%なのに、短答式試験の合格率も12%程度しかないという事態になります。つまり、試験全体の分母は短答式試験2回合わせた願書提出数となっており、願書提出数ではないのです。

例をあげると、平成30年の1回と2回の短答でそれぞれ、 8,373 人と8,793人が願書提出しています。その一方で、平成30年の論文式合格時に発表される願書提出者数は 11,742 となっています。つまり、2回合計の17,166人との差の5,424人は1回目と2回目の両方の短答式試験を受けたため、母集団としてカウントされていないのです

この点を勘案すると、分母は17,166人で分子が1,305人なので、合格率7.6%が平成30年度の実際のところの合格率といえそうです。

さらに合格率が低くなるケースについても考えてみます。短答式試験の合格率が12%前後、論文式試験の合格率が35%前後であり、両方の試験を一発で合格する確率は12%×35%の4.2%だと考えることもできます。あくまでも、短答論文ともに一発合格を前提にした場合の合格率です。

これを見てやっぱり公認会計士試験は自分には無理だって思ったあなた。心配しないで、次の章を読んでみてください。

公認会計士試験の本当の合格率

前の章では、公認会計士試験の合格率は本当はもっと低いんじゃないのかという話をして、不安になった人もいるかもしれません。でも心配しないでください。次は実はもっと合格率は高いんじゃないのって話です。順番に見ていきましょう。

公認会計士試験の欠席者

上で出した合格率の分母は何か覚えていますか?

そう、願書提出(者)数です。でもどんな試験でも当日に試験に行けなかったり、そもそも、行く気がない人もいるものです。ということで、次に示すのは短答式試験と論文式試験の欠席者をまとめたものです。(欠席者数が公開されている年のみに絞っています)


見ていただいてお分かりのように、短答式試験で約20%、論文式試験でも約10%の受験生が当日試験を受けていません。想像より多かったのではないでしょうか?

さて、では次のグラフはそうした欠席者を除いた正味の受験者のみの正味合格率推移です。一つ目が短答式で、二つ目が論文式です。

どちらもぐっと合格率が上がったのが分かると思います。直近では、短答式平均で17.5%の合格率、論文式で39%の合格率です。二つを掛け合わせると6.83%ですので、上で計算した一発合格の合格率より2%以上高い計算になります。

とはいえ、まだまだ一桁なので、難しいことは変わりません。次に着目するのは、出席者の中で欠席者はいないのかという観点です。

記念受験組を除外する

これも受験あるあるだと思うのですが、受験願書を出したはいいものの、全く勉強していなかったり、真剣に集中できていない人ってかなりいます。そういった人たちは欠席をすることが多いのですが、中にはせっかく申し込んだからもったいないとの精神ばかりに受かる見込みは全くないのに受験だけしたりするものです。

また勉強始めたばかりだけど、本番の雰囲気をつかむためにお試し受験する人も結構いるんです。こういった人たちをまとめて、記念受験組と呼ぶことにします。

公認会計士試験における記念受験組はどの程度いるかを調べるためには以下のデータが役に立ちます。これは、最新の短答式試験の得点分布をまとめた表です。

この回の合格率は63%です。そのため、低め(?)に見積もっても、得点率が40%以下の人たちは話にならない(≒記念受験組)だと仮定します。そうすると、2,886人が記念受験組ということになります。これは、答案提出者の43%にもなります。

そういった人たちを母集団から除くと、合格率は得点率が63%までの1,114人が分子で40%までの3,724が分母になるので、30%になる計算です。

いかがでしょうか。 答案提出者の下位40%は全く相手にする必要がない層で、 短答式試験のうち実際に試験と勝負できる人、つまりあなたのライバルになりえる人に限定すれば、合格率は30%まで跳ね上がります。この傾向はこの回だけでなく、ほかの回でも同様です。

論文式試験(2次試験)に記念受験組はいるのか

次は論文式です。一次試験を突破した猛者が集う論文式試験で記念受験組なんていないでしょと思うかもしれません。確かに短答式試験よりは少ないのですが、論文式試験にも記念受験組となりえる存在はいます

一つはアカウンティングスクール出身の人たちです。知らない人のために解説すると、アカウンティングスクールは会計大学院修了者のことを指します。彼らは大学院を修了すると短答式試験のうち企業法以外の科目を免除して受験することができます

しかしながら、大学院の授業だけでは当然ながら計算の力は身に付かないため、アカスク出身の人たちの合格率は非常に低くなっています。私の同僚のうち、アカスク出身で会計士試験に受かった人は1人しかいません。100人以上の会計士を知っていてもです。

したがって、アカスク出身の受験者は母集団から除外していいと思います。ではそうした人たちは何人かというと、以下の表(平成30年度)の会計専門職大学院修了者の444人がそれにあたります。合格率は12.2%と一番高い大学在学中の受験者と比べて雲泥の差があることが分かると思います。

一応、12%の合格率はあるので、全てを除外するのではく、444人の85%にあたる、377人を記念受験組として除外します。そうすると、母集団は3,678人から欠席者366人と377人を引くことになるので、2,935人。分子は1,305人なので、44%になります。

さらに、勘案すべきは5月の短答合格者と12月短答合格者の違いです。論文は8月に行われますので、5月組は直前まで短答式試験の対策に集中しなければならず、12月組に対して合格率が低い傾向があります。したがって、12月合格を仮定すると、5月短答をぎりぎり合格した層も記念受験組とみなしてよさそうです。

5月合格の人数が2018年で975人います。そのうち、かなり保守的に2割程度の人を短答にぎりぎり通って8月の論文には間に合わない層だと考えると、約200人は母集団から外せそうです。その人たちを引いた2,735人が分母になるので、

最終的な論文式試験の合格率は48%になります。

公認会計士試験の合格率 最終的な結論

結論をまとめます。短答式の平均的な合格率は12%ですが、記念受験組と欠席組を除外した合格率、つまりはあなたが実際にライバルとなりうる人たちだけに母集団を絞った場合の

短答式試験の合格率は30%だと結論づけます。

また、同様に記念受験組と欠席組を除外した、

論文式試験の合格率は45%~50%です。

したがって、上記の短答・論文とも一発で合格した場合のおける合格率は30%×50%の15%が実際のところです。表面上の数値4.2%に比べて3倍以上の合格率となります。

以上のように、公認会計士試験の合格率は低く見れば以上に低く計算することができます。しかし、一方で、数値をしっかりと検証し分析すれば、実はそんなに合格率は低くないことが分かるのではないでしょうか。

会計士試験は低いハードルなわけではありませんが、高すぎるわけでもありません。短答式は試験は3回に1回は受かる計算ですし、論文式試験はは2回は1回で受かる計算です。
まずは、私には無理だと諦める前に、とりあえず一歩踏み出すことことから始めまてみませんか

ABOUT ME
会計士てる
大学3年時に公認会計士試験に一発合格。 その後海外留学を経て、大手監査法人に入所。その後、製造系の上場企業の監査業務、IFRS導入支援業務に従事。現在は国際金融部にてフィンテック系企業及び金融機関の監査・コンサルティング業務を行なっている。